共同担保とは?共同担保目録について

共同担保とは?必要になるケースやメリット・デメリットを解説

多額のローンやキャッシングを利用する場合、担保を求められることがあります。ローンの額によっては、不動産担保が必須となるケースも多いといえます。一口に担保といってもその種類はさまざま。比較的認知されている担保とは異なる「共同担保」もそのひとつです。そこで今回は、共同担保の基礎知識に加え、その担保を示す共同担保目録についてもご紹介しましょう。

共同担保とは?

ここからは、共同担保と普通の担保との違いをみていきましょう。

普通の担保との違い

一般的に知られる担保はひとつの債権に対し、ひとつの不動産を担保として提示することになります。対する共同担保は、ひとつの債権に対して「複数の不動産」を担保するものにあたります。

そもそも、ローン契約やキャッシング契約は、契約内容に基づいて債務者(借り手)が債権者(貸し手)に返済していきます。もちろん、滞りなく返済を続けられるならば何も問題はありませんが、債権者は常に「債務者が返済を続けられなくなるリスク」を抱えているのです。何らかの理由で返済ができなくなり、結果として債権者側が損をするケースも少なくありません。

担保はそのリスクに対する備えとなります。不動産などの債権(借りているお金)同等の価値をもつ財産を提示します。もし、債務者が返済できなくなってしまった場合、この担保を差し押さえて損失補填します。

借入額が大きい場合、その額に見合った価値の担保が必要です。仮に1000万円の担保が必要であるにも関わらず、保有している不動産が800万円の価値しかない場合、契約は成立しません。そこで、別の不動産に200万の価値があれば、共同担保にすることで借入が認められるのです。

債権者側からしても共同担保にはリスク分散などのメリットがあります。不動産担保は価格変動が激しく、長期のローン契約になると価値を維持できないケースがあるのです。また、債権の支払い中に災害などに遭って消失すれば差押えもできません。共同担保によるリスク分散が有効となるわけです。

ただし、共同担保には複数の不動産担保を失うリスクがあります。加えて担保にできる不動産の数が減れば、今後他の借入が困難となるケースも少なくありません。債務者の視点からすると、いくつかのデメリットがありますので覚えておきましょう。

担保についてさらに詳しく知りたい方は下記のページもご覧ください。

共同担保を設定する理由とは

借入を行う際に、債権者側が共同担保を設定する理由をみていきましょう。

担保価値の確保

共同担保は担保価値の確保のために設定される場合があります。ローンの貸付を行う際に1つの物件だけに抵当権を設定した場合でも、物件の価値が貸付金よりも高ければ担保としての価値は十分です。

しかし、価値が低ければ、競売にかけても貸付金を全額回収できません。1つの物件だけでは価値が足りなくても、別の物件にも抵当権を設定することで、貸付側は債務者が返済できなくても競売などで全額回収できる可能性が高まります。

私道の確保

土地や建物を担保とする際は、隣接する私道の共有権も共同担保とするケースが一般的です。隣接する私道が利用できないと、交通が不便になるだけでなく、価値が低下しトラブルの原因にもなりかねないためです。

法定地上権の成立を回避

地上権は、建物所有者が土地を使用できる権利です。法定地上権は、土地と建物の所有者が異なる場合に、どちらかに抵当権が設定され、抵当権が実行された際に建物所有者に認められる地上権です。

法定地上権が成立すると土地所有者と建物所有者の間で、トラブルが起きる可能性があります。しかし、土地と建物を共同担保とすれば、法定地上権が成立せず、土地と建物を別々の方が所有するリスクを回避できます。

そのため、土地の上に建物が建築されている場合、共同担保が設定されているケースが多いといえるでしょう。

共同担保のメリット

ここからは、債務者が共同担保を設定するメリットをみていきましょう。

有利な条件で融資が受けられる

共同担保を設定すると信用力が上がるため、融資の借入期間や金利といった条件が有利になります。

土地と建物をセットにすると価値が上がる

土地と建物をセットで共同担保にした場合、評価額が向上します。評価額が向上すると自分が希望した額の融資を受けやすくなる点は知っておきましょう。

共同担保のデメリット

債務者が共同担保を設定するデメリットをみていきます。

金融機関の対応エリア外では共同担保にできない

金融機関では対応可能なエリアが定められています。共同担保に設定する不動産がエリア外だと担保として扱ってくれません。そのため、融資の依頼を検討する金融機関が決まった場合は、共同担保とする不動産がエリア内であるかどうかを事前に確認しましょう。

借入金を返済するまでどちらの処分も困難

抵当権が設定された不動産でも売却は可能です。しかし、抵当権が実行されると所有権がなくなるため、不動産の購入者を見つけられる可能性は低くなってしまいます。

共同担保目録とは?

ここでは、共同担保目録についてみていきましょう。

共同担保目録が必要になるケース

共同担保でローン契約を交わす際には、共同担保目録が必要になります。共同担保目録とは、文字通り「担保の内容をまとめた文章」のことです。物件の所有者が必要とするケースは物件を売却する場合です。

抵当権がついた不動産の売却時は、抵当権の抹消が必要になることから、共同抵当においてもローン完済時に全ての物件の抵当権抹消が必要です。そのため、事前に目録を取得し、抵当に入っている不動産の確認を行いましょう。

債権者側は、共同担保としている不動産を抵当に取る際に共同担保目録が必要です。担保不動産の価値を正しく評価するために目録を確認する点は知っておきましょう。

共同担保目録の取得方法

共同担保目録は自身で作成するものではありません。法務局または地方法務局の長に指定された登記官が作成を担います。

自身は「登記事項証明書」を用意し、抵当権の登記欄に「共同担保目録番号」や、担保に入れる不動産の住所・注意事項などを記載するだけでOK。なお、共同担保目録は1枚の紙に担保一覧が並んでおり、誰が見ても内容をすぐに把握できるようになっています。

注意点

注意事項として、共同担保目録と登記事項証明書は、返済後10年間は保管しなければならないと定められています。厳重に保管しておきましょう。実際に差押えが行われる場合や、登記の修正を行う場合にも根拠として求められます。

なお、勝手に内容を書き換えられるリスクもありますので、共同担保目録や登記事項証明書は専門家に保管を依頼するのも手です。弁護士事務所や司法書士事務所では、不動産登記だけでなく書類の保管も請け負っていますので、不安な方は検討してみてください。

共同担保と抵当権の関係性

ここからは、共同担保と抵当権の関係性をみていきます。

共同担保目録の抹消

共同担保となっている不動産の売却時は、事前に抵当権を共同担保目録から抹消する必要があります。目録の抹消は自動的に行われるものではなく、債権者が抹消できるものでもありません。

抹消手続きは個人で行うこともできますが、必要書類の準備や手続きに手間がかかるため、司法書士などの専門家に依頼する方法も検討してみましょう。

共同担保目録から抵当権を抹消する方法

共同担保から抵当権を抹消するためには、債務を全て返済する方法と任意売却の2つがあります。債務を全て返済すれば、抵当権の抹消手続きが可能です。

また、抹消手続きを行わないといつまでも抵当権の登記が消えないため、全額返済を行った際には忘れずに手続きを行いましょう。任意売却は債務の返済が難しい場合に、債権者の許可を得たうえで、ある程度は所有者の希望条件を考慮しつつ、一般市場で不動産を売却する手続きです。

任意売却では債務を完済できない場合でも、債権者から了承を得て一定の条件を満たせば、抵当権を抹消できます。しかし、任意売却を行っても残った債務はなくならないため、残債の支払いは必要です。


抵当権についてさらに詳しく知りたい方は下記のページもご覧ください。

共同担保についてしっかりと理解しておこう

キャッシングやローンの額によっては、単独の不動産担保のみでは対応できないこともあります。どうしても契約を結べない場合、共同担保も視野に入れなければなりません。ただし、債務者側にはいくつかのデメリットも存在します。予め共同担保・共同担保目録についてしっかりと理解しておきましょう。

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