運転資金の計算方法
運転資金は、商品の仕入れや経費の支払いに必要な資金です。そのため、経営者は運転資金がどれほど必要なのか常に把握しておかなければなりません。事業において大事な運転資金には、常に必要となる正常運転資金と突発的に発生する資金があります。経営者は、どちらの資金にも対応できるように準備しておく必要があります。そこで今回は、運転資金の算出を把握するための計算方法をご紹介します。
運転資金の計算方法
事業を行なうには経営するための資金が必要です。その資金は、「運転資金」と「設備資金」があります。設備資金は、必要な設備にかかる資金なので金額が明確になっています。しかし、運転資金は経営状況によって変動します。運転資金は多ければ多いほど経営が楽になりますが、現金預金がないと融資で資金調達する必要があります。そのため、必要以上に借入れて負担を抱えることを避けるために運転資金の金額を正確に算出する必要があります。
運転資金を考える上で特に注意すべきなのが、売上が入る前に仕入れ費が必要なときや、売り上げてからしばらく経たないと入金されない売掛金が生じるときです。どれだけ売上があっても、売掛だと入金されるまで時間がかかるため、現金預金がなければ商品の仕入れに必要なお金を借り入れる必要があります。そのため、必要となる運転資金を算出するために計算しておかなければなりません。計算式は以下の通りです。
「売上債権残高(売掛金や受取手形)+棚卸資産残高-仕入れ債務残高(買掛金や支払手形)=運転資金」
売上債権残高は、現金化されていない売上金である売掛金や受取手形で支払いされた金額です。棚卸資産残高は、仕入れた商品の中でまだ売れていない在庫商品の金額です。在庫商品は、現金化されていないので売上債権残高に足します。そこから、入金予定の金額となる仕入れ債務残高を差し引いた金額が必要な運転資金になります。
回転率の計算も必要
運転資金は回転率も影響します。回転率とは、使った資金でどれだけの売上を生み出しているのか確認するための指標であり、数字が大きいほど効率がよいことを示しています。
運転回転率には、「売上債権回転率」「棚卸資産回転率」「仕入れ債務回転率」があり、以下の通りです。
・売上債権回転率
売上債権回転率は、売上債権が少ないほど高くなります。例えば、「1,000(売上高)÷500(売上債権)=2回転」と「1,000(売上高)÷200(売上債権)=5回転」だと、後者のほうが回転率の効率がよいことを示しています。
・棚卸資産回転率
棚卸資産は抱えている在庫なので、商品の在庫数が少ないほど回転率が高くなります。例えば、「1,000(売上高)÷500(棚卸資産)=2回転」と「1,000(売上高)÷200(棚卸資産)=5回転」だと、後者のほうが回転率の効率がよいことを示しています。
・仕入れ債務回転率
仕入れ債務回転率には、売上原価と仕入れ債務(買掛金・支払手形)が関係しています。例えば、「1,000(売上原価)÷500(仕入れ債務)=2回転」と「1,000(売上原価)÷200(仕入れ債務)=5回転」の場合、2回転のほうが仕入れの支払いに時間がかかっていることを表しています。反対に後者の5回転だと仕入れの支払いまで時間がかかっていないので効率がよい回転率であることが分かります。
それぞれの回転率を確認することは、運転資金の割合を出すのに必要です。コストがかかっている部分を把握して対策することができる他、融資を受けるときに具体的な説明ができます。運転資金を借り入れるときは、明確な理由と数字が必要になるので運転資金の算出ができるようにしておくことが大切です。