第二抵当で利用可能な不動産担保ローンは?メリット・デメリットと審査突破のコツも紹介
不動産担保ローンを借り入れる際には不動産に抵当権を設定します。抵当権は、第一順位が優先されるものの、第二抵当権であっても資金調達が可能なケースもあります。
しかし、第二抵当権である場合に「資金調達がそもそも可能なのか?」「どういった金融機関でローンを取り扱っているのかわからない」という方もいるのではないでしょうか。
今回は、不動産担保ローンで第二抵当は利用できるのか、利用するメリット・デメリットなどについて解説します。
不動産担保ローンで第二抵当は利用できる?

結論からいえば、不動産担保ローンでは第二抵当を利用可能です。仮に、第一抵当権が設定されていた場合でも、担保する不動産の評価やこれまでの信用情報の履歴によって追加融資が可能です。
ここでは、抵当権の仕組みや優先順の意味についてより詳しくみていきましょう。
不動産担保ローンの抵当権とは?
不動産担保ローンにおける抵当権は、金融機関が債務者(ローンを利用する人)の所有している不動産に対して設定するものです。
債務者がローンの返済ができない場合に、担保とした不動産が競売にかけられた際、抵当権者である金融機関は他の債権者より優先して、その売却代金から弁済を受けられます。 返済ができない場合に行使される権利であるため、滞りなく返済を行っていれば実行されません。
第二抵当の仕組み
抵当権は、ひとつの不動産に対して複数の設定が可能です。ひとつの不動産で2つの抵当権が設定されている場合、先に設定されたものが第1抵当権、次に設定されたものが第2抵当権となります。
融資額が大きくなる事業資金に関しては、不動産に複数の抵当権がつくことも珍しくはありません。担保とする不動産の価値が高く、いくつもの金融機関から借入を行っていても、返済計画を明確にしている場合は融資を受けられます。
資金調達が上手くいかない場合や追加で資金が必要になった際は、第2抵当の担保融資を金融機関に相談しましょう。
抵当権の順位とは
不動産を担保にしてお金を借りる場合、債権者としては、もしも返済不能になったときのために不動産から貸付金を回収できるようにしておきたいものです。このときに重要なのが、抵当権の順位です。
◇抵当権の順位
一般的に、ひとつの不動産に対して複数の債権者がいる場合、先に抵当権を設定した人から1位、2位と順位がついていきます。そして、順位が高い債権者ほどしっかりと回収ができることになります。
例えば、1,000万の担保価値のある不動産に対し、第1抵当権が800万、第2抵当権が500万設定されていたとします。抵当権が実行されて1,000万円の現金になったとき、第1抵当権者には800万円が渡りますが、第2抵当権者には200万円しか渡りません。結果的に、第2抵当権者は債権を回収し損ねることになりかねないのです。
・抵当権は弁済の優先順位を示すもの
抵当権は、不動産投資などで金融機関から融資などを受けた際に、債務者が返済できない場合に建物や土地を担保とする権利です。抵当権を設定した不動産に関しては、返済のために競売にかけられた場合、抵当権者は順位の高い方から優先して弁済を受けられます。
例えば、金融機関の住宅ローンを使って住宅を購入した場合、その金融機関が第1抵当権となります。このローンの完済前に、不動産担保ローンなどを利用して抵当権が追加される場合は、2番以降の抵当権が設定されることを把握しておきましょう。
第2抵当権は債権を回収できない可能性があるため、1抵当権以外の設定を避ける金融機関は多いといえます。
第二抵当で不動産担保ローンを利用するメリット

ここでは、第二抵当で不動産担保ローンを利用するメリットをみていきましょう。
住宅ローンを完済せずに追加融資を受けられる
第二抵当は住宅ローンが残っている不動産を担保にすることが可能です。そのため、住宅ローンを完済していなくても、別の不動産担保ローンを組んで追加融資を受けられる場合があります。
また、すでに所有している不動産を売却する必要もありません。資産を保持したまま資金調達が可能となる点はメリットだといえるでしょう。
無担保ローンよりも有利な金利で借りられる可能性がある
第二抵当は担保物件が確保されているため、無担保ローンよりもリスクが低いと判断されます。そのため、無担保ローンよりも有利な金利で借入できる傾向です。
また、第二抵当権で不動産担保ローンを借り入れる場合、資金用途が柔軟なケースが多く、資金計画でも選択肢が広がります。
長期の返済計画が立てられる
借入限度額や返済条件は、担保の価値に応じて決められます。そのため、第二抵当でも担保の価値が高ければ、有利な融資条件が提示され、長期的な返済計画を立てることが可能です。
複数の金融機関から融資を受ける可能性が広がる
第一抵当の金融機関から追加の融資を受けられない場合でも、他の金融機関から第二抵当を活用して不動産担保ローンを借りられるケースがあります。そのため、第二抵当は複数の金融機関から融資を受ける可能性が広がる手段といえるでしょう。
第二抵当で不動産担保ローンを利用するデメリット

第二抵当で不動産担保ローンを利用するデメリットをみていきましょう。
第一抵当で利用する場合より金利が高めに設定されることが多い
抵当権の順位が高いと優先して弁済を受けられる仕組みです。抵当権の順位が低いほど債権の全額を回収できないリスクが高くなります。
そのため、第二抵当に関しては、第一抵当よりも金利が高めに設定されることが多い点は知っておきましょう。
希望通りの融資額を借りられないことがある
抵当権を設定する物件の担保価値に余力が少ない場合、第二抵当で借りられる融資額は低くなる傾向です。そのため、融資を受けられる場合でも希望通りの融資額が借りられないケースもあります。
審査が厳しく、時間がかかることがある
銀行のように第一抵当権の設定しか認めていない金融機関があることに加え、第二抵当は嫌がられる傾向にあります。そのため、融資が受けられる可能性はあるものの、審査が厳しく、時間がかかることも珍しくありません。
また、第一抵当権者の承諾が必須となるケースもあるため、審査前の段階で時間を要することもある点には注意が必要です。
返済負担が増加するリスクがある
第二抵当で新たに借入した場合は、毎月の返済額が増加します。そのため、入念な資金計画が必須だといえるでしょう。返済期間が重なる期間なども事前に計画しておくことが重要です。
また、不動産担保ローンは契約時に事務手数料や印紙代といった諸費用がかかります。長期的な返済が可能であるものの、返済負担が増加するリスクがあることは把握しておきましょう。
第二抵当で不動産担保ローンの審査に通るためのポイント

第二抵当で不動産担保ローンの審査に通るためのポイントをみていきましょう。
既存の借入残高を少なくする
既存の借入残高が少ないほど、金融機関からみれば回収不能となるリスクが低くなります。そのため、第二抵当権で借入をする場合には、既存の借入残高をできる限り少なくすることで、資金繰りの計画を示しやすくなります。
借入希望額を低めに設定する
借入希望額が不動産の担保余力の範囲を超えている場合、審査に通らない可能性があります。また、第一抵当権者が優先的な弁済権を持つため、第二抵当権の担保価値は第一抵当権よりも低くなります。
そのため、評価額に対して、借入希望額を低く設定することが審査通過の可能性を高めるひとつのポイントといえるでしょう。
返済能力を証明する
既存の借入の返済を進めておくと返済能力を証明できるため、金融機関から返済能力があると判断されやすくなります、返済能力があると評価されれば、審査に通る可能性が高まります。
審査に通るためのポイントを詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。
内部リンク:二番抵当でも通る?不動産担保ローンの仕組みや通るためのポイントを紹介
第二抵当で不動産担保ローンを利用した事例

事例記事URL
https://www.sbi-efinance.co.jp/cases/case4/
https://www.asax.co.jp/case/?id=1685603572-470709
不動産ローンの第二抵当はポイントを押さえて利用しよう

二番抵当でも不動産担保ローンを活用し、借入が行える可能性があります。ただし、第一抵当権者よりも借入金額が低くなりやすい点や入念な返済計画が必要となる点などには注意が必要です。
抵当権について理解し、諸費用や事務手続きのコストなども加味したうえで有効に活用しましょう。