借入金には税金がかかるのか?相続税の節税や所得税控除・減価償却費について解説

借入金には税金がかかるのか?相続税の節税や所得税控除・減価償却費について解説

「税金対策のために借り入れをする」という話を聞いたことはあるでしょうか。最近では、一見、借り入れなどする必要がなさそうな富裕層の中にも、節税を図るために借り入れをするという方は少なくありません。

今回は借り入れと節税の関係についてみていきましょう。

借り入れをすること自体は、税金対策にはならない

まず、借り入れをして返済することで節税になると考えている方もいるのですが、それは間違いで、借り入れを返済しても税金は1円も変わりません。


借り入れをした際には手元に現金が増えることになりますが、その現金に対して税金がかかることはありません。そして借り入れをする際に税金がかからないのと同様に、返済したからといって返済分の税金が減るわけではないということです。ただ、利息分の税金を支払うことで税金を減らすことは可能です。

例えば、会社を経営している人が500万円を3%の年利で借り入れし、500万円+利息の15万円を返済した場合を考えてみましょう。利息分の15万円については経費という扱いにすることが認められているため、その分の税金を減らすことができます。しかし当然のことながら、借り入れの利息である15万円を支払わなくてはならないので、その上で今回の例のような節税をすることがメリットと考えられるかどうかは状況次第となります。

借り入れする方法

ここでは、借り入れするための方法についてみていきましょう。

金融機関などから融資を受ける

融資を検討する際に検討しやすいのは、金融機関からの借り入れです。銀行の融資には、直接融資する場合と銀行が窓口になっているものがあります。それぞれの違いの把握が大切です。

銀行が直接融資する場合

銀行から直接融資を受ける際は、審査が厳しい傾向にあることに加え、支払利息も比較的高くなりがちである点を知っておきましょう。また、決算書や事業計画書など必要な書類が多くあるため、融資を受ける際には、税理士や金融機関の担当者などへの相談を推奨します。

日本政策金融公庫・信用保証協会

銀行が窓口になっている機関として、日本政策金融公庫・信用保証協会があります。
銀行などでは融資が受けられない場合でも、融資が受けられる可能性があるため、選択肢の一つとしましょう。

助成金や補助金を利用

事業資金などを得るには、助成金や補助金の利用も検討可能です。金融機関の融資とは違い、どちらも利息の支払いや返済の必要がありません。しかし、助成金や補助金は申し込みに期限が設けられています。

そのため、自分が受けられるものがある場合には、忘れずに期限内に申し込みを行うことが大切です。

借り入れをして相続税を節約

借り入れを活用して節税を図る例として一番わかりやすいのが、相続税対策です。どのように節税につながるのかみていきましょう。

債務控除

相続手続きが行われると、相続人には資産(プラスの財産)と負債(マイナスの財産)の両方が受け継がれることになります。

仮に資産が5,000万円あって、借入金が2,000万円あった場合には、資産から負債を差し引いた3,000万円が課税対象となります。そうなると、節税効果としては大変大きいものになります。

これは「債務控除」という制度で、未返済となっている金融機関からの借入金、住宅ローンの借入金、事業の未払金などはすべて債務控除の対象となります。

銀行から融資を受けてマンションやアパートを建設した場合にも、その借入金分は控除の対象となりますので、節税効果が高くなります。

高齢になってから借り入れをして土地を購入し、アパート建設をする方もいますが、その大きな目的がこの節税対策であることも少なくありません。

近年では、土地は購入せずにタワーマンションの高層階を購入する富裕層の方もみられます。

マンションの場合、高層階であればあるほどに売買価額も比例して高くなるので、相続税対策としては高い効果が期待できます。

節税を行う際のポイント

相続税の対策として借り入れをする場合は、借りすぎに注意が必要です。賃貸物件を保有するような相続対策は、実体としては不動産投資と同様であるため、過度な借り入れをしないようにしましょう。

賃貸物件の保有や借入金は相続税対策には効果を発揮します。賃貸経営が上手くいっているのであれば、借入金を多く利用しても問題はありません。しかし、始めは賃貸経営が上手くいったとしても、賃貸物件には空室のリスクなどがあるため、収入が大きく落ち込む可能性があります。

そうなった場合、借入金の返済も困難になります。賃貸経営を行う場合は、リスクを検討したうえで適切な範囲内で借りることを心掛けましょう。

住宅ローンで所得税を控除

住宅ローンを利用した場合には、ローンの残高に応じて所得税の控除を受けられます。
相続税というと、まだ考えるには早いという方もいるかもしれませんが、住宅ローンとなると多くの方にとって身近なものといえます。

住宅ローン減税

これまで住宅ローン減税は、住宅ローンの年末残高の1%が10年間所得税から控除されていました。例えば、一般的な住宅で4,000万円が年末残高の場合には、40万円を控除できるという内容です。税額からの1%であれば、節税効果は高いといえます。

2022年に住宅ローン減税の一部内容が変更されました。2022年より前に住宅ローン減税を受けている方については、以前の控除率や条件が適用されます。

2022年の改正で、控除率は1%から0.7%に引き下げられ、控除期間は10年(特例措置で13年)であったものの、13年(既存住宅や増改築は10年)に引き上げられました。控除率は引き下げられたものの、13年にわたって控除を受けられることは節税に大きな効果を発揮します。

借り入れしたお金を上手く活用すれば、相続税や所得税などを効果的に減らすことも可能だといえるでしょう。ただし、借り入れをする際には返済が必要になり、返済時には利息も支払わなくてはなりません。

節税効果と利息の支払いを照らし合わせて、どうすれば高い効果が見込めるかを慎重に考えて借り入れを検討することが大切です。

借り入れによる減価償却費

減価償却とは、建物や機械設備など時間の経過によって価値が減少する資産について、1年以上の期間を超えて使用する場合、資産の耐用年数にわたり費用処理をしていくことです。

毎年の確定申告の際に減価償却費を申告すれば、経費扱いとなります。資産を現金で一括購入した場合、購入年度には現金が出ていくものの、次年度からは減価償却費を経費として利益から引くことができます。

つまり、返済計画をしっかりと立てたうえで、借り入れをした場合には、税金の支払額を抑えつつ、余裕を持った借入金の返済が可能です。しかし、減価償却費分を全額借金返済に充ててしまうと、余裕がなく苦しい状態となるため、借金返済に充てるのは8割程度に抑えましょう。

譲渡所得税

譲渡所得税は、不動産を所有した期間によって、短期と長期に分けられます。短期の税率が30%であるのに対して、長期の税率は15%です。長期譲渡所得が適用されるためには、不動産を取得した日の翌日から売却した年の1月1日までの所有期間が5年を超えていなければなりません。

この所有期間に関しては、相続・贈与交換で不動産を取得した場合、以前の所有者の所有期間を引き継ぐことが可能です。また、固定資産の交換や収用の代替えで取得した不動産も、前からの所有期間を引き継げることは把握しておきましょう。

節税を行うためにも、こうした短期と長期の税率の違いを把握しつつ、税率が下がるタイミングで売却しましょう。

贈与とみなされ税金がかかるケースとは

借入金が贈与とみなされ税金がかかる場合があります。どのようなケースが該当するのかをみていきましょう。

利息なしの借入金

貸付に対して、利息は徴収されるものだといえます。例えば、金融機関などからお金を借りた場合やローンを組んだ際は、利息が発生するでしょう。そのため、利息なしの借入金は贈与とみなされるケースがあります。

家族間の貸し借り

家族間(親子・夫婦・兄弟)などの貸し借りは、贈与とみなされる傾向にあります。借入金額や利息、返済状況をふまえて、借入金と判断されない場合は贈与税の支払いが必要です。

この場合は利息を支払う、毎月定期的に返済を行う、必要事項が記入された契約書を用意するといった、借入金を贈与と判断されないための対策を行うことが大切です。

まとめ

借り入れをしただけでは、節税にはつながらず借金が増えるだけです。しかし、借り入れした資金を上手く活用することで、相続税や所得税などの節税に結びつきます。税金対策の有無により、納税金額に大きな差が出るといえるでしょう。

しかし、節税になるからと無理な借り入れをし、資産や不動産を購入してしまうと節税の効果はあっても返済が困難になるリスクが高くなります。そのため、現在の状況を把握したうえで、借り入れを行い節税につなげましょう。

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