個人事業主がお金を借りるには?資金調達の4つの方法とやるべき準備を解説
個人事業主で、借入ができないと悩んでいるケースは少なくありません。個人事業主でも借入が可能な金融商品もありますが、資金調達する方法によって大きな違いがあるため、それぞれの違いを知っておく必要があります。
今回は、個人事業主の一般的な資金調達法、お金を借りる際に準備するものについてみていきましょう。
個人事業主の一般的な資金調達法
ここでは、個人事業主の一般的な資金調達の方法を解説していきます。それぞれのメリット・デメリットを知ったうえで活用しましょう。
銀行融資
個人事業主でも銀行融資を受けられます。メリットとしては、多額の資金を借り入れられる可能性があり、さらに原則として経営へ介入されることはありません。
しかし、利息を含めた元本を返済期間内に返済する必要があることに加え、審査が厳しく希望する金額を調達できない場合があります。
補助金・助成制度
補助金・助成制度は、国や都道府県の各自治体で受けられます。金融機関から融資を受ける場合、返済が必要です。対して、補助金・助成金であれば、返済不要のお金を得る(返済が必要なケースもある)ことも可能です。
補助金・助成制度は書類審査や面接審査などを受けた結果、採択されます。申請書の作成過程で事業計画をブラッシュアップでき、申請が認められた場合には、事業価値がアップします。
しかし、補助金・助成制度は条件に合わない場合、申請できません。また、申請手続きに手間がかかるだけでなく、もらえたとしても事務処理や事後報告にも手間がかかります。前払いではないため、必要な費用は自分で立て替えなければなりません。
他にも補助金・助成制度は課税対象となるため、納める税金が増えるといったデメリットも知っておきましょう。
銀行以外のビジネスローン
ビジネスローンは使用用途が事業用に限定されているローンです。利用できるのは、個人事業主または法人のみとなっています。銀行では融資を受けるまでに、数日~数週間程度かかる場合があります。
対して、銀行以外のビジネスローンの場合は融資スピードが速いケースが多く、すぐに資金を借りたい方に適しています。総量規制の対象外であるため、年収に関係なく借入が可能です。また、借入時に担保や保証人が不要なケースが多いため、借りやすいというメリットがあります。
事業用であれば、融資を受けた資金の用途に制限が設けられていないなど、柔軟性が高いことも特長です。ただし、銀行融資などの金利は年15%以下となることが多いものの、ビジネスローンの金利は最大で18%前後になるケースが多くなっています。
また、借入できる金額が最大でも数百万円程度となるため、それ以上の資金が必要な場合は銀行などの金融機関を利用しなければなりません。
<h3> クラウドファンディング</h3>
クラウドファンディングはインターネットで事業資金を調達できる金融サービスです。気軽に資金募集を行えることに加え、資金調達の幅が広がったり、テストマーケティングとしても活用できたりもします。
しかし、目標金額を達成できない場合、資金調達ができません。そのため、資金調達に必要な支援者数や資金を確保できるプロジェクトを提案しましょう。また、資金調達ができない場合に備えて、別の調達方法を探しておく必要があります。
個人事業主はどれくらいお金を借入できるのか
個人事業主は金融機関から、法人より社会的信用度が低いとみなされる傾向が強く、貸し倒れリスクが高いと判断されます。銀行融資、補助金・助成制度・ビジネスローンで個人事業主が借入できる金額は審査結果によって異なる点は知っておきましょう。
具体的に○○万円とはいえないものの、目安の金額としては多くても500~1,000万円です。また、クラウドファンディングで調達できる金額の相場は150万円前後です。そのため、個人事業主が実際に借入できる金額は多くても1,000万円程度であることは把握しておきましょう。
個人事業主がお金を借りるとき準備するもの
ここでは、個人事業主がお金を借りるときに準備するものをみていきます。借入先によって提出書類が変わるため、注意しましょう。
銀行に融資を受ける場合
銀行に融資を受ける場合に必要となる一般的な書類は次のとおりです。
- 本人確認書類
本人確認書類として、運転免許証や健康保険証、マイナンバーカード、パスポートのいずれか1点が必要です。 - 印鑑証明書
日本ではあらゆる契約を行ううえで、署名と押印が意思表示の証拠となります。印鑑証明書はあなたが使用している印鑑が公的に証明されたことを示す書類です。登録する際は、開業届を提出した管轄地域の役場で「印鑑登録申請書」を記入して申請を行います。 - 確定申告書
2期分の確定申告書を求める銀行が多いため、用意しておきましょう。 - 事業関連書類
事業関連書類として、事業計画書・収支内訳書・資金計画書・借入計画書・青色申告決算書を用意しましょう。銀行側がお金を融資するうえで安定した事業が行えているか判断するための書類です。他の書類の提出を求められるケースもあるため、事前に確認しなければなりません。
銀行以外のビジネスローンの場合
銀行以外のビジネスローンでは、本人確認書類と収入証明書(確定申告書)の提出が求められます。銀行の融資と比べると、比較的少ない提出書類で済むといえるでしょう。
補助金・助成金を受ける場合
制度の主催先で異なるものの、次のような書類が必要となります。
- 応募申請書
- 事業計画書
- 経費明細書
- 事業要請書
申請書類は補助金・助成制度を提供している機関や団体のWebサイトなどで入手可能です。
提出前には必要書類を確認したうえで、不備・不足がないか確認しましょう。
クラウドファンディングの場合
クラウドファンディング活用助成金を申請する場合、必要な書類は次のとおりです。
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書
- 確定申告書
ただし、主催先によって必要書類が異なる場合があるため、利用する際はHPなどで確認して書類を準備しましょう。
個人事業主で審査に通るためのポイント
ここでは、個人事業主で審査に通るための方法をみていきましょう。
綿密な事業計画を立てる
事業計画書は、融資の審査結果に大きく影響する書類です。そのため、事業の継続だけでなく、成長させる、伸ばしていく方法を具体的に記載しましょう。
また、収支計画も綿密に立てるなど、無理のない返済計画を含む説得力のある計画書を提出しなければなりません。金融機関側が計画書の内容が曖昧だと判断した場合、融資を受けにくくなります。
資金調達先や事業の融資限度額を知る
借入を行う際には、どの金融機関でも500万円や1,000万円といった融資限度額が定められています。しかし、誰でも融資限度額まで借入できるわけではありません。たとえば、融資限度額2,000万円のローンに申し込んでも、500万円しか借りられないパターンもある点は知っておきましょう。
そのため、融資を受ける際には資金調達先の融資限度額を把握したうえで、自分の事業の状況や事業計画での実際に借りられる金額(借入限度額)を知ることが重要です。審査に通るためにも、自分にとって適切な借入限度額を見極めましょう。
信頼関係を築く
借入を行う際は、担保や保証人が必要な場合は確保する、税金や公共料金などを滞納しないようにするといった金融機関との信頼関係を築く必要があります。信用情報に問題がある、他に多くの借入がある場合は金融機関からみて融資ができないと判断されます。
融資を受けるためにも、信用情報にキズをつけない、必要書類を不備なく準備する、綿密な事業計画書を提出するといった信頼関係を築くことを意識しましょう。
まとめ
個人事業主の方でも、銀行からの融資やビジネスローンといった方法で資金調達は可能です。しかし、法人より社会的信用度が低いとみなされ、貸し倒れリスクが高いと判断される傾向にあることから、審査が厳しくなる場合があります。
審査に通るためにも、必要な書類を不備なく準備する、綿密な事業計画書を作成する、信用情報にキズをつけないことなどは徹底しましょう。また、希望する金額は自分に適切な借入限度額を見極めて申し込むことが大切です。
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