個人事業主は住宅ローンを組みにくい?審査を通るポイントや注意点を解説

公務員や会社員は毎月給料が支払われるため、病気やケガで休職しても安定した収入があると判断されます。

対して、個人事業主は、住宅ローンが組みにくいとされています。金融機関から収入が不安定と判断されやすいためです。住宅ローンの審査に通過するには、所得を安定させる、滞納をしないといったことを意識しておくことが大切です。

そこで、今回は個人事業主が住宅ローン申請するうえでの、審査のポイントや注意点についてみていきましょう。

個人事業主の住宅ローンは組みにくいといわれる理由

住宅ローンは長期間にわたる返済が必要なローンです。そのため、金融機関が実施する審査では、債務者に返済能力があるかどうかが重要視されます。返済能力の有無の判断として、次のような傾向がある点は知っておきましょう。

  • 会社員
    勤務している限りは毎月給与が支払われ、ボーナスなどの支給もある。病気やケガで休んだ際にも保障があるため、安定的な収入が見込める。そのため、返済能力が高いと判断される
  • 個人事業主
    取引先との関係や景気後退などの影響で収入が減少する、収入が絶たれるリスクがある。病気やケガで休業した場合の保障がないなど、ローン返済が滞るリスクが想定される。

一般的に個人事業主である場合、ローンが組みにくい傾向だといえます。

個人事業主が住宅ローンの審査を通るポイント

ここでは、個人事業主が住宅ローンの審査を通るためのポイントについて、みていきましょう。

審査に通りやすい金融機関を選ぶ

個人事業主で住宅ローンの借入を検討する際には、審査に通りやすい金融機関を選ぶ必要があります。そのため、事業でメインバンクとして使用している金融機関へ相談しましょう。
個人事業主が住宅ローンの審査に通りにくい理由として、収入が不安定とみなされる点が挙げられます。しかし、メインバンクであれば、事業が安定しているかどうか把握しやすく、安定している場合にはリスクが低いと判断できます。
また、事業用ローンの借入を行っている場合は、事業拡大計画や収益計画なども金融機関が把握しているため、住宅ローンの審査が通りやすいといえるでしょう。自営業の方でも利用しやすいローンとして、固定金利の住宅ローンである「フラット35」の利用も検討するとよいでしょう。

住宅ローンの選び方について詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。

自己資金を用意し借入額を抑える

頭金がなくても住宅ローンは借りられるものの、頭金の金額によって住宅ローン審査に通る可能性が変わってきます。頭金を多く用意するほど、金融機関からの借入金額を下げられ、滞納リスクが低いと判断されやすくなるためです。
また、頭金を多く用意できれば「計画的に貯蓄できる管理能力がある」ことの証明となる点から、金融機関に良い印象を与えられるでしょう。

所得を安定させる

住宅ローンの審査を個人事業主が受ける場合、多くの金融機関で3年間分の確定申告書の提出が必要です。過去3年間の所得が黒字であれば、事業が安定し、継続的な収入を得ていることを金融機関にアピールできます。

基本的に審査基準となるのは、3期の平均所得です。しかし、金融機関によっては、1期でも赤字があれば貸せないと判断されるケースもあります。

また、事業を始めてから3期が経っていない場合は、審査通過が困難となりやすく、独立してからすぐの審査はハードルが高いといえるでしょう。そのため、住宅ローン申し込みは、過去3年間が黒字となっているタイミングがベストです。

税金やローンなどの滞納をしない

個人事業主は、確定申告による納税が必要であり、国民健康保険や国民年金などの社会保険料を自分で支払う必要があります。そのため、失念していたなどで支払い忘れが発生するリスクがあります。

また、税金や保険料の滞納だけでなく、カードローンやクレジットカードなどの支払いに滞納がある場合も、住宅ローン審査に悪影響を与える可能性がありますので、注意が必要です。

住宅ローンは経費になる?

自宅を事務所としている個人事業主には、毎月ローンの返済が発生しています。住宅ローンの利息は経費になるものの、元本は経費にできません。住宅ローンの返済は、事業とは直接関係のない金銭のやり取りであるため、売り上げにも費用にもならない点には注意が必要です。

利息に関しては、事業に使用している割合に応じて必要経費として算入可能です。経費とするには、事業使用割合の計算が必要となり、一般的には面積で決定します。事業における使用部分が自宅面積の何%に当たるかを確認すれば、該当部分を経費として計上可能です。

個人事業主が住宅ローンの審査に必要な書類

個人事業主が住宅ローンの審査に必要となる書類は次のような書類となります。

本人確認書類健康保険証(必須書類)
▼次の中からいずれか1点
  • 運転免許証
  • パスポート
  • 世帯全員の住民票写し(続柄の記載があり、本籍地やマイナンバーの記載がないもの)
  • 個人番号カード
  • 公共料金の領収証
収入関連書類
  • 確定申告書控え(直近3年分)
    ※青色申告決算書などの付表を含む
  • 納税証明書(直近3年分
返済中の借入に関する書類(既存の借入がなければ不要)
  • 返済予定表
  • 返済口座の通帳
    ※口座名義人・口座番号・直近3カ月の返済状況について確認できるページが必要
  • など

※必要書類について、金融機関によって詳細が異なる場合があるため、借入を検討する金融機関のWebサイトなどで事前に確認を行ってください。

個人事業主でも住宅ローン控除は受けられるのか?

個人事業主でも住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けられます。住宅ローン控除はマイホームをローンで購入した際に、一定金額が所得税から控除される制度です。制度を利用すれば、住宅購入時の負担を軽減できます。

住宅ローン控除を受けるには、次の条件を全て満たす必要がある点は知っておきましょう。

〈適用条件〉

  • 住宅ローンの借入期間が10年を超えている。
  • 1年間の全ての所得が2,000万円以下。
    ※2021年以前に入居し、住宅ローン減税の適用が既に開始されている場合には、2022年以降も従前どおり合計所得金額が3,000万円以下である年にのみ住宅ローン減税が適用されます。
  • 購入する物件の床面積が50㎡以上あり、さらに自己の居住用エリアが1/2以上ある。
  • 購入日から半年以内に住み始め、毎年12月31日まで住み続けている。
  • 親族や配偶者等から購入していない。

住宅ローン控除を受けるには、適用条件を全て満たし、取得して居住を始めた翌年の確定申告のタイミングで必要書類を税務署に提出しなければなりません。

まとめ

個人事業主は、取引先との関係や景気後退などの影響で収入が減少したり、病気やケガで休業したりした場合の保障がありません。そのため、収入が不安定と判断されやすく、審査に通りにくい傾向にあります。

しかし、個人事業主であっても住宅ローンの借入は可能です。住宅ローンに通るためのポイントを把握しつつ、審査に必要な書類を用意しましょう。

また、利息は必要経費に算入でき、条件を満たせば住宅ローン控除を受けられます。住宅購入後の負担を軽減するためにも制度を上手く活用しましょう。

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