不動産担保ローンが通らないのはなぜ?審査基準や落ちたときの対処法を解説

不動産担保ローンは不動産を担保にするため、高額な借り入れが可能です。また、長期で返済を行えるため、長期的な返済計画もたてやすいといえます。しかし、審査に落ちて融資を受けられないという経験をした方も多いのではないでしょうか。

今回は、不動産担保ローンに通らない主な理由や審査基準、落ちたときの対処法について解説していきます。

不動産担保ローンに通らないときの主な6つの理由

ここでは、不動産担保ローンに通らない主な6つの理由をみていきましょう。一つずつ見直し、改善できるところから取り組むことが大切です。

他社からの借り入れが多い

住宅ローンやカードローンなど他社からの借り入れが多い場合は、収入に対しての返済割合が高くなります。また、金融機関では他社からの借入件数と金額を確認します。

そのため、他社からの借入金額が多いほど、ローンが返済できなくなるリスクが高いと判断される点は知っておきましょう。

本人の収入が不安定

申込者に安定した収入があるという点も不動産担保ローンの審査における重要なポイントです。申込者が就業していたり、自営業でも長期間にわたって利益を出していたりすれば、審査で不利になることはありません。

しかし、非正規雇用やフリーターの場合は、収入が不安定とみなされ審査に落ちることがあります。

不動産の担保価値が低い

担保とする土地と建物の評価が低ければ、金融機関から不動産を売却しても融資した金額を回収できないと判断されます。そのため、担保価値が低い場合には、融資額が下げられたり、審査に落とされたりするケースも珍しくありません。

別の金融機関の担保になっている

不動産が別の金融機関の担保とされているケースでは、新しい借り入れにおける抵当権は二番抵当以下となります。二番抵当以下は、返済の対象となる確率が低いため、金融機関によっては融資を受けられません。

仮に、融資要件を満たしていても、不動産の価値が高く、充分に返済が見込めると判断されなければ審査に通るのは困難です。

信用情報の問題

信用情報機関に次のような記録がある場合は、審査に通らないと判断できます。

  • 【延滞情報】住宅に限らず、何度も支払いを延滞したことがある
  • 【異動情報】自己破産や個人再生といった債務整理の履歴や3カ月以上の滞納がある

信用情報の記録は最長で5年、異動情報に関しては5~7年間記録が残るため、情報が消えてからでなければ、審査に通るのは難しいといえるでしょう。

申し込み書類の不備や情報の虚偽がある

申し込み書類に不備がある場合は、返済能力が正確に判断されなくなるため、審査に通りにくくなります。また、虚偽の情報は金融機関からチェックされることに加え、人物的な信用度が低くなってしまいます。そのため、審査の申し込みでは虚偽の情報の記載は避けましょう。

不動産担保ローン審査に通らないときの対処法

ここでは、審査に通らないときの対処方法をみていきましょう。現状を把握し、取り組みやすい項目から実施していくことが大切です。

融資希望の金額を減らす

融資希望額が返済能力や不動産担保の価値に見合わないと判断された場合は、審査に通りません。そういった場合には、融資希望額を調整しましょう。返済負担率が低下するため、金融機関の評価改善が期待できます。

担保となる対象不動産を変更

保有者が担保価値の高い不動産と評価していても、金融機関の想定する担保価値と一致するとは限りません。そのため、他に担保となる不動産を所有している場合は、価値の高い物件に変更すると審査に通りやすくなります。

他社の不動産担保ローンに申し込む

審査に通らなかった場合は、半年ほど時期をずらして、他社のローンに申し込みを検討しましょう。同時期に複数の会社でローン申し込みをすると審査の悪影響を避けられます。また、金融機関によって審査基準が異なるため、複数のローンの要件を把握しておけば、他社で審査に通るケースも多いといえます。

不動産担保ローン以外の方法で資金調達する

不動産担保ローンで通らない場合は、他のローンで資金調達を行うことも検討してみましょう。無担保で借りられるローンや公的融資などもあるため、情報を集めて自分に最適な方法を選ぶことが大切です。

不動産担保ローンの審査基準は?

ここでは、不動産担保ローンの審査基準をみていきます。

本人の返済能力

本人の返済能力に関しては、次のような項目が審査されます。ライフスタイルやこれまでの事業成果なども評価対象となる点は知っておきましょう。

  • 収入と返済負担率
    収入が多いほど、信用力が向上します。しかし、審査では、金額だけでなく返済負担率(毎月の収入におけるローン返済額の割合)を意識しなければなりません。返済負担率が高いほど評価は悪化するため、審査に通りにくくなります。
  • 勤続している年数
    勤続年数は長いほど信用力が向上します。また、安定的に収入が得られていると判断されやすくなるため、審査に有利だといえるでしょう。
  • 年齢
    不動産担保ローンは、10年や20年など返済期間が長いものが多いため、ローン完済時の年齢が重要になります。完済時年齢が高ければ高いほど、収入が不安定になると判断されるため、計画的な申し込みが大切です。
  • 他社からの借り入れ状況
    金融機関では他社からの借り入れ状況も確認されます。借入金額だけでなく、借り入れしている金融機関が多いほど、審査が通りにくくなります。そのため、審査のタイミングではできる限り借入金額を減少させる、借り入れを行っている金融機関を減少させるのが有効です。
  • 法人は事業の安定性
    法人の場合は事業年数や内容、将来性、過去数年分の決済内容などが審査されます。事業年数が長く安定している事業者と判断された場合は、審査に有利になるといえるでしょう。

土地の評価額

土地の評価額は、次の4つの基準で審査されます。

  • 国土交通省が産出した公示地価
  • 都道府県が算出する標準地価
  • 国税庁が算出する路線価
  • 市町村が評価した固定資産税評価額

金融機関では、上記の算出基準を組み合わせて評価を行うものの、評価条件で重要視するポイントは各金融機関で異なります。

※参考: https://ngu-group.jp/column/real-estate-secured-loan-examination/#index_id3

建物の評価額

建物の評価額は、次の計算式で求められることが多いことも知っておきましょう。

  • 再調達価格(同じ建物を購入するための必要額)×延床面積×残存年数(法定耐用年数から築年数を引いた年数)÷法定耐用年数(税法上の減価償却の計算で何年耐久可能か)=建物の評価額

どのような家であっても、残存年数が0か法定耐用年数を超えている場合には、評価が0円となります。また、袋小路にある建物、建物を他人に貸しているケースでは建物の評価額が下がる場合がある点も意識しておきましょう。

※参考: https://ngu-group.jp/column/real-estate-secured-loan-examination/#index_id3

不動産担保ローンに通るためのポイント

ここでは、不動産担保ローンに通るためのポイントをみていきましょう。

担保となる不動産のチェック

物件名義が共有されていたり、物件自体の借地や土地の権利関係が複雑だったりする場合は、審査に通りにくいため、名義から見直しましょう。土地の権利に関しては、法律の専門家への相談も必要となる可能性があります。

不動産の取り扱いエリアを確認

不動産担保ローン会社が取り扱い可能なエリアに不動産があるのかを事前に確認しましょう。申し込み予定の金融機関が対応できないエリアである場合、始めから選び直す必要があります。

法人・個人事業主は事業計画と返済計画を入念に

法人・個人事業主では、事業計画や返済計画の提出が必要になる場合があります。事業計画では5年ほどの「売上」「利益」などを算出したうえで、目標達成のための具体的なアクションを記載しなければなりません。

返済計画には、現在返済中のローン返済額も考慮しつつ、返済に必要な資金を準備する計画や完済計画を記載することが大切です。詳細に解説できるような計画書を作りましょう。

提出書類の確認と提出期限を守る

提出する書類の数が多く、役所に行く必要がある書類もあります。そのため、時間に余裕を持って準備・提出しましょう。

不動産担保ローンについて、詳しく知りたい方は下の記事もぜひご覧ください。
https://www.nichidensya.co.jp/useful/real-estate/1779/
https://www.nichidensya.co.jp/useful/real-estate/2420/

不動産担保ローンを利用するときの注意点

ここでは、不動産担保ローンを利用する際の注意点について解説します。

審査に時間がかかる

担保となる不動産の価値を評価する時間や担保設定が必要となるため、融資実行までに1~2カ月程度かかるケースも多いといえます。そのため、時間に余裕を持って申し込みましょう。

手数料などの諸費用

不動産担保ローンでは、事務手数料や印紙税などさまざまな諸費用がかかります。借入金額や物件の内容によって変化するものの、場合によっては数十万円の費用が必要となるケースもあります。

返済できないときは不動産が売却される可能性がある

無担保ローンでは支払いが滞っても、金融機関から不動産を競売にかけられません。しかし、不動産担保ローンでは抵当権が設定されるため、返済できなくなれば不動産が売却されます。金融機関が融資金額を回収不能と判断した場合には、競売手続きに移行される点は知っておきましょう。

不動産担保ローン会社を選ぶときの3つのポイント

ここでは、不動産担保ローン会社を選ぶ場合のポイントについて解説していきます。

日本賃金業協会に加盟にしているか

日本で貸金業を営む場合は、金融庁への登録が必要です。また、貸金業者は日本貸金業協会に加盟し、業者間で情報交換を実施しています。そのため、貸金業者登録を行っているか確認したうえで、日本貸金業協会に加盟している業者を選びましょう。

銀行の金利相場の比較

銀行の金利相場は0.9~9.0%と低金利の傾向にあります。不動産担保ローンの金利のタイプにも、「変動金利」と「固定金利」がある点は知っておきましょう。変動金利は固定金利よりも低金利に設定されやすく、返済期間中は定期的(概ね6カ月に1度)に金利が見直されるのが特徴です。

また、審査が緩めで利用限度額を高く設定しやすいといえます。ただし、金利の見直しで高金利になった場合には、契約時に想定していた支払額を超える可能性がある点は知っておきましょう。

対して、固定金利は借り入れから返済まで金利が変わらないため、返済計画がたてやすいです。しかし、変動金利よりも基本的には高金利になる傾向があり、利用限度額の制限がある場合が多い点も特徴です。それぞれのタイプの特徴を理解したうえで、自分に適したタイプを選択しましょう。

融資額の上限

不動産担保ローンは、商品ごとに設定されている融資額の上限が高いほど借り入れできる金額は多くなります。しかし、審査結果で融資の限度額が決定するため、必ず自分の希望する金額を借りられるわけではないといえます。